2023年9月4日「政民東京會議」講師/玉木 雄一郎 国民民主党代表

2023年09月04日
  

「自分の国は自分で守る」

 国家の役割は①国を守る②産業を興して民を豊かにする③人を育てる――この三つに尽きる。国を守る上で、国防はもちろんだが、食糧やエネルギーの自給率を上げることも不可欠だ。コロナやロシアのウクライナ侵攻によって、食糧や半導体、医薬品を国内で調達することの重要性が浮き彫りになった。日本の科学技術予算は横ばいで、いまでは中国や米国に大きく遅れをとり、高度人材が育ちにくくなっている。世界で建設中の原発の約7割が中国・ロシア製だ。原発の新増設をするにも技術者、IT人材を含めた計画的な人材育成も急務。「給料が上がる経済」を実現させれば少子化対策も不要になる。

 国民民主党は①名目賃金上昇率4%②名目GDP成長率4%③日経平均株価4万円の「3つの4」を提案してきた。これが持続的に実現できれば国は活気づく。1993年から始まった小選挙区比例代表並立制という大政党に有利な選挙制度や、『憲法改正』と言った途端に国会の議論が停止してしまう障害があるなかで、国会議員21人の小さな党だが「この国の在り方を変えたい」と30年続いた「93年体制」に挑もうとしている。課題は多いが、これ以上国力を損なう前に解決策を考えていきたい。この数年が正念場だ。

 2日前の代表選で再選を果たした玉木代表は、代表選を振り返りつつ、かつてなく自民党が安定政権になり、野党がバラバラになっている現状に危機感を募らせた。憲法改正については、「自民党の憲法改正案は生ぬるい。自衛権の範囲がどこまで認められるかの国民を巻き込んだ本質的な議論がなされていない」と批判。一方で、「これまでわが国では憲法を“改正するか否か”だけが問われ、中身が一切問われてこなかった。野党の中でもまともな議論ができておらず、これが自民党を倒す足かせにもなっている」と従来の野党の反省点を述べた。そのうえで「憲法で変えるべきところは変えるなど、必要な議論を重ねなければならない」と強く訴えた。このほか、同党の政治塾を通じた若手の人材育成の現状について言及。質疑応答では、中国との付き合い方や維新の会との関係など幅広い質問が寄せられた。